ある日の夏火さん。エピソード0.1

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  ある日。   「おや?」   下駄箱に何か入っている。 封筒かな?   「まさか、これがあの伝説の白石……じゃない、ラブレターってやつ?」   ついにあたしにも春が来たか? 周りに誰かいないか確認……うん、いる。   「ていや」   ズドン! 目の前の下駄箱を蹴倒してやると、周りにいた学生がいそいそと消えて行った。 うんうん。素直でよろしい♪ 何に対して素直なのか知らんが。   「さてさて、伝説の手紙を読んでやろうじゃないか。確か、自分フィールド上のカード一枚を相手に渡す。だったかな?」   ノリ付けされた封筒のフタを剥がし、手紙を取り出す。 どれどれ。       『放課後。川原で待つ。 必ず一人で来い。』       「短かっ!? なんか果たし状みたいじゃん! てか果たし状か!?」   もしこれがラブレターとやらならあたしはラブレターをそうとう勘違いしていた事になるけれど。   「ここら辺で川原って言うと……裏手の川か?」   うん? 裏手? 裏手……裏……校舎裏か!?   「校舎裏って言ったら告白のベストポジションじゃん! うん、わかった。多分この手紙の相手はそうとうな恥ずかしがり屋さんだね?」   素直に気持ちを書けずに乱暴で端的な内容になって、緊張で校舎裏と川原を間違えたわけだ。 せっかちさんめ!   「……だったらいいな、と夏火は夏火は、希望的な事を宣言してみる」   でも校舎裏は見に行ってみる。
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