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「具体的方法を教えてくれてたら、絶対ああはならなかった。」
ぶっすー。
一宮は教室へ戻り、ふてくされた面で座り、頬杖をついた。
目の前には、御厨谷がいる。
ケンカした次の日、また相談を持ちかけた一宮だった。
「そんなのしょうがないだろう?
それに、僕にばっかり文句言われても困る。」
「ま、そうなんだけど…」
納得いってない感じがとても伝わってくる。
「それにさ、ほら、言ったところですぐに実行できないプランを立てそうだったし。」
言ってすぐに自己嫌悪にハマる御厨谷。
「あ、そんな一宮に朗報。」
そして立ち直る。
「あれしてダメ、これしてダメなら、退いてみるのはどうだ。」
「退く?」
「あぁ。お前らヤろうヤろうとしてばかりで、付き合いだした頃の気持ちを忘れてねぇか?
たまにはキス止まりとか、ただ歩いて帰るとかしねぇと。
『恋人は ヤるだけのもんじゃねぇ』だろ?」
「あ、そうだな。考えもしなかった。ありがとう、ミクリ。」
そう言って一宮は笑う。
それを少し離れた場所で見ていた幸野は、
『謝って一緒にまた帰ろう』
と思っていた気持ちが消えて、そのまま意気消沈して帰ってしまった。
それが、後に三人の関係を壊す事態にするかもしれないことを、
もちろん、今の三人は誰も知るはずがないのだった。
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