大切なもの

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三途の川上空に突然現れた光はそのまま餓鬼の目の前に降りたかと思うと、一瞬にして餓鬼を数百メートル後方に吹き飛ばした。 「何っ!?」 裕太の声の後に祐子が叫んだ。 「シン君っ!」 光の中からシンが現れたかと思うと次の瞬間には吹き飛ばした餓鬼の前に立った。 「おまえ....祐子ちゃんを....みんなを....」 シンの額から放射線状に放たれた光が網のように餓鬼を包み込んだかと思うと、一瞬にしてその姿を消し去った。 誰もが茫然とそれを見ていた。 「お待たせーっ!超強力消滅弾完成っ!....あれ?シン君?」 バズーカ砲を背負った弘明を引き連れ里沙が現れた。 「え?」 裕太や美和たちに張り付いていた粘液が自然と消滅していた。 「あれ?ここって....」 シンも周囲を見渡して不思議そうな顔をしていた。 「シン君....シンくーんっ!」 その声にシンはようやく自分がどこにいるのかを理解した。 「祐子ちゃんっ!?俺....やったーーっ!」 シンは祐子の元に駆け寄りその小さな体を抱き上げた。 「シン君、来てくれたんだ....ホントに来てくれた....うっうっ....」 祐子が涙を溜めた目で美和たちを見ると、4人は笑顔で祐子に手を振って見せた。 「ユーコぉ!」 「大丈夫だよーっ!」 「シンくーんっ!」 「お帰りなさーい!」 裕太もレイも安堵の表情を浮かべ、シンと祐子を見ていた。 「あのう....消滅弾....いらなかったみたいね....」 里沙がボソリと呟いた。
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