大切なもの

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「閻魔大王!異常事態ですっ!」 その報告が地獄に激震を走らせた。 「三椚を呼べっ!大至急だっ!」 地獄の異変はすぐに裕太の耳に入った。 「餓鬼?」 裕太の前で大野寺が頷いた。 「間違いありません。地獄の餓鬼道から数万体がこちらに向かっています。」 その場から出るはずのない餓鬼が群を成して三途の川を移動していると大野寺は告げた。 「その中に異様に巨大な餓鬼が何匹かいるらしんですが、詳しい事はまだ分かりません。」 裕太は大きなため息をついた。 「はあ....やっと下界が落ち着いたのに今度は餓鬼かよ....健、クヌギに連絡取ってくれ....」 「神様っ!大変っ!心界に餓鬼が現れたって!」 第2会議室に里沙が飛び込んで来た。 「心界に!?」 「今地獄から三椚さん、こっちからは防衛軍が向かってるけどそれまで持ちこたえるかわかんないっ!」 心界に防衛軍はいない。 「じじぃと親父さんがいれば結界は張れるっ!健っ!こっちに餓鬼が来るかも知れねーっ!非常事態宣言レベル5だっ!天国全域に発令しろっ!里沙っ!みんなを集めろっ!」 心界に向かった純と大河以外の者が会議室に揃った。 「いいかっ!奴らが何故ここにとかは後回しだっ!心界には純と大河が防衛軍5万人と向かった。残り5万人を涼....要所要所に配置させろっ!相手は餓鬼....言葉も気持ちも通じねーからなっ!即消滅!」 女神宮ではレイを中心に天使たちが集合していた。 「餓鬼は三途の川を上って来ます。天国入り口に結界を張りますから祐子ちゃんは私と一緒に来て下さい。真紀ちゃん、大天使院の者を10人1組で防衛軍と一緒に天国内に配置させて下さい。」 レイの言葉に美和が不思議そうな顔を見せた。 「女神様、私たちは?」 レイはそんな美和の肩に右手で触れながら告げた。 「あなたたちは....自由に動いてみんなを守ってね、武装天使さん。」 レイの声に圭が肩から吊したマシンガンを右手で握り締めて頷いた。
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