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心界に侵入しようとした餓鬼を天老院と心界王が寸前で止めていた。
「高嶺、いかんな....ただの餓鬼ではないようじゃ....」
「天老院様、どうやら共食いをしているようですね。」
「そうじゃ....高家順三を覚えておるか?」
「あの高家ですか?」
「奴と同じように喰らった分でかくなりおる....動きは鈍いし、知恵はないようじゃが、猛獣と変わらん故に早くしとめないと取り返しがつかん事になりおるわ。」
天老院と心界王が2人がかりで張った結界は簡単には破られないが、万が一を考えた天老院は護衛の剣崎を呼んだ。
「剣崎、武田を呼べ。」
天老院の言葉に普段は感情を顔に出さない剣崎も戸惑いを露わにした。
「武田ですか?しかし....」
「それとな、天国と地獄からこっちに向かっている兵隊は引き上げるように伝えてくれ....心界はわしらと武田で十分。」
剣崎は天老院に頭を下げてから管理棟に戻り、言われるままに連絡を入れた。
「天老院様、武田ですか....」
心界王は結界の向こう側で共食いを続ける餓鬼の群れを見ながら天老院に声を掛けた。
「武田はそういう世界で生きたからのう....これからの天国ではあやつの協力も必要になるやも知れん....この餓鬼の大軍を百戦錬磨の武田に任せて様子を見たいのじゃ。」
天老院はそう言うとニヤリと笑って見せた。
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