大切なもの

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「何とも慌ただしい日々でしたな。」 「まあとりあえず一件落着ですか。」 天議会で八戸と長沢は笑顔を見せていた。 「シン殿も無事に戻って来れましたし....」 「今回の件で下界の何人かは天国の存在を認めたようですしな。」 長沢の発言に続いて裕太が口を開いた。 「まあ本当にとりあえずって感じだよ。核は一時的に無くなったけど、どうせまたすぐに作るさ。」 人間がいる限り、争いは繰り返されると裕太は指摘した。 「欲望が人間を動かしたんじゃない....人間が欲望を生み出したんだ....それと餓鬼が何故あんな事になったのかだけどな、どうやらあれも欲望のせいらしいぜ。あいつ、餓鬼の本能を更に強化したみてーだな。」 地獄の餓鬼は三椚率いる守備隊が鎮圧していた。 「それにしても天老院のじじぃ....武田騎馬隊かよ....はぁ....なあ涼、あれってどうなんだよ?」 裕太はため息をつきながら涼を見た。 「正解だと思いますよ。もし餓鬼が心界に侵入したら銃よりも刀や槍の方が一般人を傷つける確率は低いし、あれだけ天馬を器用に操れる人たちはいないでしょう。戦術も山本勘助さんとかいるから間違いないし....」 「すると次は上杉が来るのかもな....何かよく分かんねーな。あのじじぃ、一体何者なんだよ....ていうか何か揺れてねえ?」 裕太たちが事件を振り返っている頃、大天使院では天使たちがレイを囲んでお茶を飲みながら談笑していた。 「みんな、本当にご苦労様でした。解決したのは私や裕太君よりもみんなが頑張ってくれた結果だと思うわ。」 レイの言葉に天使たちは恥ずかしそうに笑った。 「へへへ....ユーコが頑張ったからだよ。」 「三途の川じゃもうダメかと思ったし。」 「あの刑事さん元気かな....」 美和、梓そして圭の言葉に続いて真紀が空を見ながら呟いた。 「どうして....傷つけ合うんだろ....戦争なんて悲しいだけなのに....」 レイはそんな真紀を優しい目で見ながら話した。 「私もみんなもこの年齢でこっちへ来てしまった....だから世の中の仕組みなんて知らないし、まして殺し合う人たちの気持ちなんて想像もつかない。私たちがいくら泣いても叫んでも全ての戦争を止める事なんて出来ないの....」 レイは立ち上がって後ろから美和と梓の肩に手を置いた。
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