大切なもの

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「だけど私たちにも出来る事があるんだって今回の件で分かった!みんなの優しさで救った命がある....確かにそれはほんの一握りだけど、決して無駄な事なんかじゃない。だから....」 「だから私たちはこれからも世のため人のためにがんばるっ!ねっ、梓っ!」 美和が梓の肩に手を乗せて笑うと、梓も美和に抱きついた。 「あったり前よっ!あたしのこのマックススマイルで世界中を平和にしてあげるわよっ!」 圭は遠くを見ていた。 「刑事さん....」 「圭、あの刑事さんなら無駄よ。あの人、今でも亡くなった奥さんにベタ惚れなんだから....」 真紀は押越の心を覗いた時にそれを確信していた。 「えーーっ!あたしの方がピチピチなのにぃ....いいわよっ!あたし諦めるっ!潔さが身上よっ!」 圭はすっくと立ち上がってみんなを見渡しながら言った。 「失恋パーティーよっ!やけ食いよっ!今から回転寿司とパフェ行くからみんなつき合いなさいよっ!レイさんとユーコもっ!....ってユーコは?」 圭は周囲を見渡してからテーブルの下を覗いて見た。 「あ....祐子ちゃんなら....」 レイの言葉に天使たちはため息をついた。 諜報局ではキャシーと大野寺がファイルの整理をしていた。 「局長、お怪我はもう大丈夫なんですか?無理しないで下さい。」 大野寺は忙しく動くキャシーを見て心配そうに声を掛けた。 「大丈夫。他人の心配より明日からの自分の心配をしなさい。」 冷たく言い放ったキャシーに大野寺は一瞬にして固まった。 「え?....あ、あの局長....自分は違う部署へ異動ですか?」 新人の分際で裕太たちに対する態度が悪かった....大野寺は心の中でそう決め付け肩を落とした。 「何を言ってるの?....ああごめんごめん、はいこれ。」 キャシーはポケットから封筒を出すと大野寺に渡した。 「これに左遷先が....」 大野寺は震える手で封筒を開け、中の紙を取り出した。 (局長、短い間だったけど幸せでした....防衛軍か三途の川管理事務所か....) 恐る恐る開いた紙を見て大野寺は自分の目を疑った。 「へ?」 「へ?じゃないわよっ!よろしく頼むわよ、情報課長さん。」 キャシーはそう言って笑顔を見せた。
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