大切なもの

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「へっ?あのぅ....祐子ちゃん?」 キョトンとするシンを祐子は大きな瞳で見た。 「シン君、目を閉じて。」 シンはわけの分からないまま、言われた通りに目を閉じた。 「私がいいって言うまで開けちゃダメだよ。」 祐子の声にシンは黙って頷いた。 暖かい空気がシンに近づくとその頬に何かが触れた。 (こ、これって!) それが祐子の唇だというのはシンにもすぐに分かった。 「ゆ、祐子ちゃん!」 「まだ開けちゃダメっ!」 祐子はそう告げると飛び立った。 「シン君、大好きだよっ!」 その言葉にシンがゆっくりと目を開くと祐子は遥か遠くを飛んでいた。 「祐子ちゃんが....祐子ちゃんが俺を....」 シンは自分の頬に手を当てた。 「祐子ちゃんが....祐子ちゃんが....ややや....やったーーーーーっ!うおぉぉぉぉおおっ!」 興奮したシンの額から光が溢れ出し、次の瞬間公園内の全ての木が倒れ、周囲の道路に亀裂が走った。 「うおぉぉぉおおっ!祐子ちゃーーーん!」 シンの額から放たれた光は天界議事局の屋根を吹き飛ばした。 「うわっ!何だっ!?襲撃かっ!?全員戦闘態勢に入れっ!レベル5だっ!」 翌日、地獄の閻魔大王の前で正座をして震えているシンの姿は、下界の澪に裕太からの感謝のメールと共に送られていた.... 完  
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