奇跡の子

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「うちはカカア天下じゃありませんっ!まったく何年経ってもぜんぜん変わらないおバカさんなんだからっ!レイさんもホントに大変ですねっ!?」 「うるせーよ、この不純異性交遊夫婦がっ!」 「なんですってーっ!?」 .... このやりとりは彼らにとって挨拶みたいなものだ。 第三者からは喧嘩をしているようにも見えるが、天国防衛軍の仲間として数々の修羅場を共に潜り抜けて来た者たちは、実の肉親以上と言っても過言ではない程にお互いを信じ合っていた。 「あっ、そうだ....気になる事があるんですよ....後で私の所に来てもらえます?なるべくお2人で。」 里沙はそう言うと、裕太が箸でつまんだ餃子を手に取り自分の口に放り込むと、背中を向け手を振りながら歩いて行った。 「お....俺の餃子ーっ!」 裕太の携帯が鳴った。 「俺の餃子....あの....」 「裕太くん、電話電話っ!」 レイに言われ仕方なく携帯を手にすると心界王からの着信だった。 「親父さん?何?俺今大事なものを無くしてハートブレイカーなんだけど....」 心界王は先代の神だ。 レイの養父....裕太の義父でもある。 「何を言っておるのか理解できん....まあいい、すまんが明日シンを連れてこっちへ来てくれんか?」 心界....天国と地獄の中間に位置し、生前にイジメや家庭内暴力など警察の世話にこそならないが、ほんのちょっとした悪意から他人に辛い思いをさせた経験のある人間が反省するために収容される場所だ。 通常はここで自分を省みて心を浄化させてから天国へ入るが、中には地獄へ落とされる者もいる....
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