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翌日、裕太とレイはまず里沙の研究室を訪ねた。
「相変わらず小難しい本が並んでるな....俺にとって服用しなくても効き目のある睡眠薬だな。」
裕太は本棚を眺めて呟いた。
「神様はマンガ専門ですもんね....あっ、新聞も読みましたっけ?」
里沙の言葉に裕太は人差し指を振って否定した。
「最近は小説も読むぜ....ふふんっ。」
それにレイが補足した。
「恋愛小説ね....」
「キモい....」
キモいと言われて裕太は反発した。
「バカヤローっ!恋愛は人間の原点だっ!....そこにはいろんな形の愛があるっ!いいか....でな....だから....」
「じゃあレイさん、説明しますね。」
里沙は裕太を軽く無視して話し始めた。
「シン君ですが、やはり私の想像通りで間違いはないようです。」
里沙の言葉にレイも、それまで熱く恋愛論を語っていた裕太も息を飲んだ。
「成長が止まりつつある....か?」
里沙が頷いた。
「シン君の場合、0歳から5歳までの5年間を通常の3倍で育ちました....体格も頭脳もです。」
裕太とレイの子として生まれたシンは生まれてくる事自体がありえない事であった。
天界....
死んだ人間の魂が集う世界だ。
天界にやって来た人間は死亡時のまま歳を取ることはない。
裕太やレイのように二十歳そこそこで死んだ者はそのまま....90歳で大往生を遂げた者がそれより若くなる事もない。
天界で生まれた奇跡の子は驚くべき速さで成長したのだった。
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