奇跡の子

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「まあ....良かったぜ。」 裕太はレイの隣に腰を下ろした。 「このまま行ったらあっと言う間に親より年寄りになっちまう所だったしな。」 レイは裕太を見ていた。 「それで里沙、今後はどうなる?」 里沙はパソコンの画面と睨めっこをしながら答えた。 「かなりゆっくりと成長するみたいですね....通常の10倍の遅さ。」 この返事に裕太とレイは唖然とした。 「じ....10倍の遅さって....」 「もしかしたら止まるかも知れませんよ。」 3倍の速さで育って来たシンが10倍の遅さで成長して行く。 「なんかわけわかんねーな....」 里沙は裕太とレイの顔を見て口を開いた。 「生まれて来たのが奇跡ですから....何があっても不思議じゃありませんよ....それに彼には私にも予想できない未知なる力があります。」 レイが里沙を見て繰り返した。 「未知なる力?」 里沙は裕太を見ながら呟くように話した。 「神様と同じように計り知れない力です....」 裕太には、かつて犬として下界で暮らした時に身につけた嗅覚、女としての生活で培った女の勘、そして人々から集まる優しさを増幅させて放出する力など、天界でも類を見ない能力があった。 「やっぱり神様の子供だけの事はありますね....で、シン君は今何を?」 レイは裕太の顔を見てから里沙に答えた。 「....祐子ちゃんとデート。」 里沙は笑いながら話した。 「あははっ!やっぱり神様の子供だわっ!」
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