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反応しないかりん。
もうかりんの意識は失われていた。
まるで張り詰めた糸が切れてしまったかのようにパタリと倒れたまま静かに目を閉じていた。
一人の警官が優しくかりんを抱き上げた。
そして彩を睨み付け、かりんをいとおしそうに抱きしめた。
「大切な存在なら何故、こんなことをしたんだ。」
その言葉に、彩はぐったりとうなだれた。
言い返すことが出来なかった。
自分は何故こんなことをしてしまったのだろう。
こんなにも愛しくてたまらないのに。
彩は自ら歩き出した。
そして警官に導かれるまま、パトカーに乗り込み警察署へと連行されて行った。
かりんはその後すぐに病院に運ばれた。
体には医者すら絶句するほどの数の痣がはっきりと浮かび上がり、そしてまた無数の小さな傷に血が滲んでいた。
しかし骨に別状はなく、大事には至らなかった。
意識がないままたくさんの検査にかけられる小さな少女。
その姿はなんとも痛々しく、体中から悲鳴が聞こえるようであった。
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