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幸姉に言おう。
あの二人の別れ際の空港での出来事を。
お兄と加代ちゃんのあの日の約束を……。
「幸姉!何してんの!」
わざとらしく明るく声を掛ける真美。
「あ……、真美ちゃん。」
発する声さえ、か細い。
もう今にも崩れてしまいそうなくらいに脆くなっている。
やっぱり、帰ってきた時の挨拶がお兄から無かったのが堪えているのだろう。
普通の人には何でも無い挨拶でも、ついこの前まで一人だった幸姉にはどれほど温かみが感じられる挨拶か。
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