プロローグ

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「ねぇ!お父さん! これ、読んでぇ!」 少女は一冊の絵本を持って男性の下へ駆け寄る。 「おいおい。幸恵。 またこの絵本か?」 男性がそう言うと男性の横で女性が言う。 「幸恵はシンデレラが大好きだもんねぇ?」 そう言いながら少女の頭を撫でる女性。 「うん!大好き!」 「そうか!」 男性は笑顔で少女から絵本を受け取る。 すると、不意に女性が男性に言う。 「幸恵は大きくなったらシンデレラになるって言うんですよ。」 男性はケラケラと笑うと言う。 「そうかー。なぁ母さん。 そのうち幸恵にも王子様が現れるのかねぇ?」 言い終えた男性は期待と切なさが交ざった表情だった。 「現れますよ。 幸恵を幸せにしてくれる王子様が。きっと…。」 そう言った女性は未来の幸せそうな我が娘を想像をして笑顔になっていた。
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