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唐突にあたしの机から這い出してきた彼は、未来からの使者らしい。
その割には彼は丸くなかったし、青くもない。ましてや見る限りおなかのポケットすら付いていない。
そんな風体でよく未来からの使者を臆面もなく名乗るものだと逆に感心してしまう。
彼は掻い摘んで、あたしの子孫が未来で大変不幸な目に遭っていることを教えてくれた。
区役所の所員みたいに事務的な口調だった。
彼が身に着けている悪趣味な豹柄のハットと、仕立てはいいがやはり悪趣味なスーツは未来の世界ではスタンダードなのだろうか?
だとしたら不幸なのはあたしの子孫ではなく世界そのもののほうなのかもしれない、と思った。
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