1日目 ダクタル氏と魔法のキャンディ

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涙で風景が滲んだ。 耐え切れずに出てしまった大きな欠伸のせいだった。 黒板には連立方程式が並んでいた。まるで魔法の呪文か何かのように。 まもなくやってくる期末テストを控えて、クラスメイトは普段よりも気持ち真面目に授業を受けていた。 昨夜はあまり眠れなかった。 ポケットを探るとそこに確かにキャンディはあった。昨日の出来事は夢ではなかったらしい。 あたしはそれを取り出して光にかざしてみた。 透明のセロハンに包まれた、小さな虹色のキャンディ。 それはもちろん商品名の類は書かれていなかったし、あたしがこれまでに見たこともないものだった。 7色、というところもまた気持ちが悪い。イエローならレモン、グリーンならメロンの味をしてるのだと思うのだけど、7色とくるとちょっと味の予想がつかない。  
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