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「いってきます」
「いってらっしゃい。帰りはバスで帰ってきてね」
「うん」
母が乗った車が学校の正門から離れていく。
今日は雨模様。自転車を諦め車で登校。
昇降口までの道のりを一人とぼとぼ歩いていると・・・
「え?何何!?」「だから早く!!」
1年生が2人、私を抜かして走っていく。
私は二人を何気なく目で見送った。別に何も気にしなかったが、2人が走って行った方に人だかりができている。それも、ちょっとしたものじゃなく、数百人単位の人だかり。遠くで聞こえたザワつき声は、このせいか。
少し気になって、私も人だかりに近づく。右前方にクラスの友達を見つけ、声を掛けた。
「おはよう。何の騒ぎ?」
いきなり声をかけてしまったので、友達は一瞬びくついて振り返った。
「な!なんだぁ、桂華(けいか)かぁ。おはよう。」
「凄い人だかりだね」
「私も今来たばっかだから、ビックリしたよ。」
「何の騒ぎだろうね。先生、前の方でめちゃくちゃ怒鳴ってる。」
少し笑いながら、背伸びして前方を覗く。
「さがれ!」「教室へ行け!!」と怒鳴ってるのがチラっと見えた。
「何かあったのは、きっと技術棟だよね?」
背伸びしながら話しかけていると、技術棟の入り口にブルーシートらしきものが見えた。
「だね~。技術棟付近は狭いから、こんな混雑してるんだろうね。
もっと広ければ、前の方に行けるのに。」
すると、前方から情報が流れてきた。
それは、波の様に一瞬の内に広がっていった。私達を飲み込み、後方にも流れていく。
人が殺された
「「え?」」
二人で顔を見合わせる。
周りの生徒も同じ反応をしていた。人が…殺された??生徒?それとも先生?
「え、えぇぇぇ?ちょ、ちょっと待ってよ!」
その場の状況がつかめず、少し混乱気味の友達。
「こ、殺されたって、誰が。だって、だって・・・・」
少しどころか、もう完全に混乱してる。私は友達を落ち着かせるために肩に手を置いた。
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