白い傘

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すると、人だかりが少しずつだが、動き出していることに気付いた。 やっと、先生が生徒を教室へ移動させることが出来てきているようだ。 だが、友達はその場に根を生やしたように、動かなかった。 「え、ちょ;みんな教室行くって。だ、大丈夫だから行こうよ。」 私達を邪魔そうに、他の生徒が抜かしていく。依然、友達が固まったまま。 「参ったなぁ。先生来てくれないかなぁ。…あ!」 脇に置いてあった、自分の傘を移動していく生徒に蹴られた。 少しムッとしながら、自分の傘を拾い上げると・・・ 「んはっ!」 背骨を掴まれたように、グイっと後ろに引っ張られた。 今まで味わった事の無い、奇妙な感覚が体全体に走った。 「う、うえぇ」 気持ちが悪い。掴まれているのに、掴まれていないような。
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