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「桂華?」
「はっ!!」
「何、ボーっとしてんのよ!それ、取ってって!!」
後ろから声を掛けられた。というか、軽く怒られた。
「ど、どれ?・・・・へぇ!?;」
自分の視界には、壁と印刷機しかなかった。
辺りを見回すと、さっきとは全く別の光景が広がっていた。
「え…は……えぇ?」
キョロキョロと首を振りまくっていると、また怒られた。
「桂華、聞いてた?それ!取ってって。」
指の先を追うと、コピーされた資料が印刷機から2枚ほど出ていた。
「あ、あぁ、うん。」
さっきよりも何倍も混乱した脳みそが、やっと言われていることを理解した。手に命令して資料を取ろうとした時、自分が何か持っている事に気付いた。
「……!!わぁっ!」
驚いて、落としてしまった。
「え、えぇ?」
怖くて体中がゾワゾワした。床に落ちていたのは、自分の白い傘だった。
傘から数歩遠ざかると、机にぶつかった。
「…ここって、委員会室…」
「おい;大丈夫かよ、お前。顔が真っ青だぞ?」
すぐ横に、パソコンに向き合っている委員長がいた。
そして、その委員長の後方にある窓の先は、真っ暗だった。
「6時から定例会始まるけど、桂華帰っていいぞ?」
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