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この街に来てようやく自分の仕事を取り戻すことができた。今の優子には唯一それが救いといえる。
待合室に次の患者を呼びにいくと、五~六歳くらいの男の子が母親にしがみつき泣きわめいていた。まさにその子が次の患者である。
優子はしゃがんで、そっと男の子の手を握る。
「大丈夫よ。あっという間に終わるから。怖くないよ、悪いばい菌をやっつけて歯をきれいにするだけだから。お姉ちゃんも昔は怖かったけど、どうってことなかったよ」
優子がニッコリと微笑むと、男の子は泣きやんで立ちあがった。横にいた母親が一礼した。
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