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あまりにも身を乗り出して見てしまっていたため、俺はバランスを崩して一角から滑り落ちた。
ギリギリで体制を整えたのだが、背中を強打して悶え苦しむ。
同時に姫ちゃんも俺に気が付き、本来の目的を思い出したのか、俺の方へ駆けだしてきた。
「おい貴様、何故逃げる」
「それは姫ちゃんが追いかけてくるからさ。俺は女性とは手合わせはしたくない」
ダンッ!と、顔の隣の床にサバイバルナイフが突き刺さる。今更そんなナイフで脅したって無駄無駄無駄。
俺は普通に起き上がり、サバイバルナイフの柄を蹴り飛ばした。当然、姫ちゃんの手からナイフが離れている時に蹴った。
丸腰の姫ちゃんの胸倉を掴み、俺の方へ引き寄せる。
姫ちゃんは俺を睨み付けてくるが、全く恐怖など感じ取れない。むしろ、イライラが募るのみだった。
「あんた…舐めんなよ?恐怖で人が支配できると思ったら大間違いなんだよ…!サバイバルナイフが武器?
……甘い!それに、やるなら加減なんかすんじゃねぇ!」
そう言えば、もう勝負をけしかけてくるのは止めると思っていた。姫ちゃんが諦めると、思っていた。
だが、現実はそうも上手く行くようなモノでは無かった。
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