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「貴様が戦えば、満足だ」
この唯我独尊執事がっ。
仕方ないから手を離し、姫ちゃんから一定距離を取った。
決して戦うわけではない。あくまでも俺は守りに徹する。
一応手は出すが、拳を握らずに手を開いておく。
「ようやく、やる気になったか。今なら人もいないから、丁度良い」
姫ちゃんは真半身に立ち、左手を上げて俺に向け、右手は握って後ろ腰に添えて立つ。
まったく見たことの無い構え方だが、俺はノーガードで両手を広げて挑発している。
案の定姫ちゃんは隙有りと言わんばかりに駆けてきて、俺の懐に入る。
易々と懐に入れさせた俺は、姫ちゃんの入り具合から必ず腹部、又は下半身を攻めるだろう。
「疾っ!」
「…っぐぅ…!」
予想通り腹部に打撃が来た。
重い拳……体を貫く勢いで来ているため、鉛のような重さを誇っている。
数歩、後退したが、俺は姫ちゃんの片腕を掴み、逃がさぬように強く力を入れた。
ぐいぐいと姫ちゃんは腕を動かし、抜け出そうとするが、流石にそこは男女の身体的能力差。
俺の方が力が勝っていて、姫ちゃんは抜け出せない。
「もうさ、痛いの嫌なのさ。どぅーゆーあんだーすたん?」
「くっ…知るかっ!」
姫ちゃんは今度は足で臑を蹴ってきて、モロに蹴られた俺は悶える。
手は離れ、弁慶の泣き所を蹴られた俺はしみじみとこう思う。
かの有名な弁慶も、この攻撃には涙をながしたのだ…と……
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