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俺の通う高校は桜華高校と言い、敷地内にある巨大な桜の木がある事から名付けられた。
だが、その桜の木は何故だか決して桜の花を咲かせる事は無いらしい。
うーむ…巨大な桜が花を咲かせたら、さぞかし綺麗なのだろうなぁ……
ふと、前方を見ると何やら慌てた様子で地面に四つん這いになって忙しなくキョロキョロと辺りを見ている少女がいた。
余談だが俺は、桜華高校の美人女生徒の顔はほとんど把握している。
俺の脳内検索に引っ掛かった名前と顔が、目の前にいる少女と一致した。
容姿端麗、成績優秀、天真爛漫の三拍子が揃った少女だ。名前は確か…門宮 雅、だったかな?
とにかく、彼女は地面に四つん這いになって何かを探していた。
正直、これは何かのチャンスかもしれん!ここで彼女に接触していれば、何かしら得をするかもな。
「すんません、どうかしたんすか?」
俺が彼女に話しかけると、彼女は驚いて勢い良く立ち上がった。
制服に付いた土を払いながら、気恥ずかしそうに苦笑いを浮かべていた。
ふむ……やはり可愛い。
流石俺の脳内検索に引っ掛かった女生徒だな。
「ちょっと…ね。色々あったのよっ☆」
「探し物なら、手伝うが?一応同じ高校の生徒だし、遅刻するのは嫌だろ?」
そう言ってみたものの、いきなり赤の他人に手伝う…なんて言われたら誰だって困惑するだろうな。
俺だったら確実に断る。
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