一本目

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      かなり面倒くさいが、せっかく姫ちゃんが俺を呼んでくれたんだ。ポジティブに行こうポジティブに。       生徒指導室へとたどり着いた俺は扉を開け、姫ちゃんが椅子に足を組んで座っている真ん前に立ち止まる。   姫ちゃんは右手に俺に関しての名簿を持ち、左手で名簿をコンコンと叩いていた。       「……で、貴様はまたここへやって来るハメになったのだな」   「いやー、前回は姫ちゃんの頭を撫でて終わりましたからねぇ」         そう、俺は生徒指導室へ呼ばれたのは今回で二回目。 一回目も今回とまったく同じ理由で生徒指導室へと連れてこられた。   たかがあだ名で生徒指導室行きとは……校則厳しすぎるぜちきしょい!       「貴様は性懲りもなく毎度毎度私を姫ちゃんと…いくら言えば理解するんだ!」   「いや、理解したくないわ。理解したらもう姫ちゃんって呼べないし、仲良くしたいから姫ちゃんって呼びたいのさ」       だって、その方が可愛いじゃないっすか。姫ちゃんは若干男勝りだけど、ちゃんと女の子の顔立ちや雰囲気を持っているんだから…勿体無い。   それに、俺っち姫ちゃんが大好きだしねー。Likeじゃない、Loveですからそこんとこよろしくー!           ………なんて口に出したらサバイバルナイフが飛んでくるから言わないが、冗談なんかじゃ無いからの。 いずれ男嫌いを治してくれるまで根気良く接していこうと思うっす。       「私なんかと仲良くしようと言うのは無駄。私は貴様が大嫌いだ。自分勝手で何を考えているのか分からない…… だが、私よりも強いから、貴様を越えるためにもこうやって話をしているんだ」     「俺は弱いぞー?いつも姫ちゃんの投擲で殺されかけているし。 あぁ、姫ちゃんが手加減してくれているのか……姫ちゃんやっさしぃー!」           一体、俺の何処を見て強い…などと思ったのだろうか…?    
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