変わらずにずっと

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「……純一……?」 山口に言われた通り、神社の境内に腰を下ろしていると瑠美がやってきた。 山口が神社から出て数分。割合早く来てくれたが、気分はなんとか落ち着いていた。できれば瑠美に泣き顔とか見せたくなかったから、良かったと思う。 「瑠美……」 「……山口からここにいると聞いた。その……山口、泣いてたが……話はつけたのか……?」 境内に腰を下ろす俺の隣に座ってきた。空は既に暗く、しかし離れたところからは夏祭り特有の騒がしさが聞こえてくる。 最初は瑠美と夏祭りを回る気だったんだが……そんな気分じゃなくなったな…… 「……なんとか、な。春風も山口も……俺を想ってくれてたよ。2人別々の強い想いがあって……でも行き着くのはやっぱり……2人を傷付けてしまう結果で……キツかったよ……」 「……そうか……」 少し間を開けて座っていたわけだが、瑠美はそう呟くと寄り添ってきた。密着する俺と瑠美。さっきまで気が張ってたから妙に安心感。 「……ゴメン……」 そしてその言葉。 空を見上げれば綺麗な星たち。夜空の下、俺と瑠美は寄り添って互いの温度を感じている。  
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