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そんなどこにでもいそうな高校生の平日の朝。寝坊とかはあまりしない質なんだが、今日は珍しく遅刻かどうかのギリギリのところで家を出た。
俺の家から学校までは徒歩10分。走れば5分もかからないうちに到着する。
「おぉい!純一ぃ!」
朝飯など食べる余裕もない。寝癖も直す時間すらない。腹を空かせ、身だしなみも気になりながら走っていると後ろから声をかけられた。
「……おぅ、北沢か」
「なんだ珍しいな。お前が学校に走って登校するなんてよ」
こいつは北沢(キタザワ)。高校に入学してから知り合ったんだが、何故か急激に仲良くなってしまった。基本ウザイ奴だが、根はいい奴だ。
ちなみにこいつはいつもこの時間帯に登校している。
「寝坊したんだよ……ったく……まさかお前と一緒に登校する日が来ようとは……一生の不覚だ……」
「なんだよその言い方……何度か俺と走って登校したことあるだろ……そりゃ俺は毎日遅刻しないギリギリの時間帯に家を出るから、いつも走りなんだがな」
何故か胸を張り威張る。
北沢も距離的には走って5分くらいのところに家がある。こいつに至ってはいつも登校する時間がギリギリ……なんだが遅刻することは滅多にない。もっと余裕を持って登校すればいいものを。
ま、俺もこうやって遅刻しないために走って登校してるから何とも言えないけどな。
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