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……だが、何故だか分からないが、彼女と話していたら自然と笑みが浮かんできた。
彼女は不思議そうに首を傾げて、しばらくして頭を微妙に後ろへと傾けてハッとする。
そして、機嫌が悪そうにムスッとした表情を作り、腕を組んだ。
「顔を見て笑うの…しつれー」
どうやら彼女は俺が笑ったことを悪いように捉えたようだ。
俺は彼女の頭に手を乗せ、わっしゃわしゃと綺麗な黒髪を乱すように撫でる。
「悪い悪い。だが、そんな表情が出せるんだな……ずっと無表情かと思ったが、そうでもないみたいだ」
「………!」
俺の手を振り払い、乱れた髪を手グシでとかして、俺に背を向ける。そして、ゆっくりと前に歩き始めた。
俺も若干後ろから追うように歩き出し、護衛兼、空気を呼んで対話を続けていた。
真っ暗で街灯の明かりだけが頼りで、先を歩く彼女の耳は赤いように見えたのはきっと、気のせいだろう……
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