第二色

8/14

1067人が本棚に入れています
本棚に追加
/68ページ
      ……そんな柊の姿を見て、瑞希さんは惚けていた。恐らく、瑞希さんは柊の紅茶を飲む姿に魅力を感じたのだろう。   俺と同じ年齢で身長も低く、頬を緩ませている表情はどこか可愛いさを含めていた。 例えるなら…そう、小動物。       「か…可愛いですよ睦月君…!お人形さんみたいです…!」   「……みゅ…?」       瑞希さんの視線と声から、自分の事を言われていると知った柊は、紅茶から若干口を離して首を傾げた。   漏らした声について、ツッコミを入れるのはやめておくとしよう。キリが無くなりそうだからな。       瑞希さんは俺から離れようとはしないが、代わりに自分の方へ柊を呼ぶ。 柊はテーブルに紅茶を置き、瑞希さんの隣に来た。   すると、瑞希さんは左手で俺の腕に組み、右手で柊を抱き締め始めた。 そうまでしても、離れようとはしないとは……凄い執念だ。         「みゅ…苦しいよ……」   「可愛いですよー!マスター、今日は柊ちゃんも一緒にです!」       何を…と思う柊。 生憎柊に瑞希さんの私情を手伝ってもらうわけにはいかない。 流石にアレは危険だ。 俺でさえ大変なのに、柊が行ったら何が起きるか分からない。     「瑞希さん、柊は初対面の人……いや、俺にもまだ完全に心を許してもらっていません。 確かに柊は可愛いですが、アレをさせるのは駄目です」       右腕に、ビクンッ!と大きく振動が伝わってくる。 反射的に右側を見るが、瑞希さんが体を震わせた様子ではない。どうやら柊が振動の発生源らしい。    
/68ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1067人が本棚に入れています
本棚に追加