第二色

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      柊はバタバタと手足を動かすと、瑞希さんの拘束から逃げ出した。 そして、俺が私服からウェイター服に着替えたりする部屋、スタッフルームに何故か逃げ込んだ柊。   瑞希さんは相も変わらず柊の行動を見て魅惑的な微笑みを見せていた。 願わくば俺の拘束も解放していただきたいが、交換条件が厳しすぎるために無理は言えない。     さて、どの様にしたら瑞希さんが離してくれるだろうか。 答えは否、"離してくれる"のではなく、"離させる"のが正しいかもしれん。   故に俺は、考えを行動に移した。         「瑞希さん。今度、必ずアレを行いに瑞希さんの店へと行きますから、離れて下さい。 俺にも一応付き合い方があります。柊を一方的に引き剥がすのは少々非情ですから」   「……はい、ではでは柊ちゃんと仲良くなるように行ってらっしゃいですよー」       瑞希さんは思っていた以上に簡単に拘束を解いてくれて、俺は柊が逃げ込んだスタッフルームへと足を運んだ。                                   スタッフルームの内装は、マスターの趣味なのかは分からないが、何故だか和風の造りになっている。 床には畳を敷かれ、ずっと吊されている風鈴。茶道が出来る道具の一式などなど……   そんなスタッフルームの扉を開けると、真正面少し離れた位置に柊が畳の上で膝を抱えて何かを呟いていた。    
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