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でも、それとむつきが目を覚ましたのは同時だった。
私は体から急速に血の気が失せていき、慌ててむつきから距離を取った。
むつきには私がちゅーをしていたのは絶対分かったし、私自身何故あんな事をしたのか…分かんないの。
ただ、恥ずかしさと後悔だけしか私には残らなかったのは分かる……
「…今のはっ…!偶然っ…!」
そう、叫んでもむつきは無言のまま体を起こした。
私の周りでは怒られるだろう恐怖が渦巻いていて、瞳に涙まで浮かんでくる。
ぎゅっと目を瞑って怒られるのを待つけど、何分経ってもむつきは話そうとしてこない。
「一体何が偶然だ?
……あぁ、アレか、柊が俺にアッパーカットしてきた事か。あの時は俺が悪かった。いきなりあんな事されたら驚くよな」
むつきは、私がむつきにちゅーしたのに気が付いてない…?
ポンと頭に置かれる手のひらは、どこか暖かくて、それでもって優しかったの……
だから、だから私は――
「触らないで、えっち」
「ふぐぅっ…!?」
照れ隠しに、睦月を殴っちゃったのー……
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