第三色

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    引きつった顔を見せぬよう、柊とみつねさんの手を引いて歩き出した。 きっと今の俺は二人にこの表情を見られたら一発で心の内を悟られてしまうだろう。 それ程まで醜悪で、荒んだ顔をしているのだ。   いくら暗闇で表情が見えなくとも、その時の雰囲気で理解してしまうのが彼女達だからな。     「ちょ、睦月はん?いくら何でも急過ぎやあらへん?」   「…そうですね」     みつねさんに言われ、初めて歩行速度が高まっているのに気が付いた。 慌てて速度を緩め、二人の歩行速度に合わせて隣に付く。   何て事だ。 たかが過去を思い出しただけでここまで乱れるとは…不覚。     「……不安…?」     不意に、柊が握る手の力を強めて尋ねてきた。 いきなりの問いに、俺は言葉を詰まらせたが、何事も無かったかのように表情を繕って首を横に振った。 時にみつねさん。どさくさに紛れて手を絡めないで下さい。 口を猫の様に丸めても駄目です。可愛気はありますが。     「…私は不安なの…」   「ほほぅ、それは睦月はんが飛鳥はんの想い人やからか。ほかほか、それなら確かに不安やなぁ」   「ちっ、ちが…!」     悪戯に柊を刺激するのはやめて頂きたいのだが……。 そんな俺の思いとは裏腹に、みつねさんは柊をこれでもかと言うほど虐めていた。 何故だろうか。性格が瑞希さんみたいな人に思えてきた。                         「ふぇぇ…飛鳥はん、それは聞いたらあかん!ウチにも色々…!」   「…めっ…私も恥ずかしいかったの…」     あ、立場逆転してる。    
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