第一色

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      初めまして、俺の名は神流 睦月と言う。     俺は今、とある事情によって俺の向かう高校――桜華高校の職員室に呼ばれていた。   何故かと言うと、俺がバイトをしているバイト先の経営者に、一つの頼み事をしてほしいらしい。       ちなみにバイト先の経営者の名前……本名は誰にも分からないが、マスターと皆から呼ばれている。   マスターは昔、名のある情報屋をしていたらしく、噂ではマスターがこの街の全てを把握しているとか何とか………           とにかく、マスターに頼み事を伝えてほしい……と仲介役として頼まれたわけだ。       特に断る理由は無いために、俺はそれを引き受けてから職員室を出て行った。 職員室に呼ばれたのは放課後だったから、もうほとんどの生徒は帰宅か部活かとそれぞれ勤しんでいるだろう。           そう言えば、俺は桜華高校の図書室で本を借りていたのを忘れていた。 確か今日までが返却締め切り日だったな………     俺は教室に行って本を取り出してから、図書室へと向かう。   本のタイトルは『光と闇の交響曲』と言い、人間の深層心理や感情、精神的な面について詳しく載っている本だ。                                 図書室に着き、扉を開いて中に入った。中には生徒が一人も居なく、本を返却しようにも人が居なければ話にならない。   仕方がないから、俺は椅子に座って持ってきた本を開いた。 実はまだ読み終わってはいないため、人が来るかもしれないから多少の間、暇潰しとして読破でもしようと思ったわけだ。          
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