第三色

19/23

1067人が本棚に入れています
本棚に追加
/68ページ
    「………およ?」     みつねさんは今自身の起きている状況を確認すると、素っ頓狂な声を出して首を傾げた。   今、みつねさんは俺に抱き起こされている。     「あやや…ややや?」   「………………」     みつねさんに言語障害でも起きたのだろうか。まともな言葉を発していない。     「ややや…ふぇぇっ!」     爆発した。   いや、爆発と言うのは比喩的表現であるのだが、爆発したかのように赤面したのだった。 赤面するほど恥ずかしいのか…それはそれは、大変失礼な事をしたようだ。     「あっ、あかん睦月はん!ウチまだ心の準備が……それにお風呂にも入らな…」   「何を勘違いしているか分かりませんが、多分その考えは違います。俺はそんなに飢えてはいません」   「…でも、いつかはきっと…狼になるん…?」     噛み殺してあげようか?       数分に渡ってみつねさんに説明を施したら、ようやく勘違いに気がついたみつねさんはまたも赤面し、逃げ出すように風呂場へ駆けていった。   …ふむ、一段落着いたか。    
/68ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1067人が本棚に入れています
本棚に追加