1067人が本棚に入れています
本棚に追加
「…ぼーりょくはんたい…」
「残念、これは制裁だ」
ポカポカと座りながら腹を殴ってくるが、痛くはない。
まるで幼稚園の園児を相手にしている気分だ。
決してロリコンではない。
とにかく、殴ってくる柊を落ち着かせ、元気そうなのを確認出来たのでバイトに向かうとしようか。
図書室に長居して柊が不機嫌になるのは面倒だからな…。
「じゃ」
「…ふんっ…なの」
一応声を掛けたが、返ってきたのは不機嫌そうな声。
どうやらものの数分で不機嫌にさせてしまったようだ。
全く、柊の機嫌は山の天候よりも変わり易い…かな?
はてさて、用事も済んだし喫茶店のバイトにでも行くとしようかね…。
俺は靴を履き替え、肩に鞄を乗せながらカツカツと喫茶店への道を歩き始めた。
途中、色々な町の住民に声を掛けられ、その都度歩みながら手を振ったり返事をしていた。
しかしまさか、子供にまで顔を知られているとは思わなかった。
例えば、母親と共に居た少女がパタパタとこっちへやって来たと思えば、いきなり抱擁を求めてきたり。
他にも数人の少年達が集まり、色々と質問してきたり。
とにかく、喫茶店へ到着した時には俺はヘトヘトになっていた。今までで初めての体験だった。
最初のコメントを投稿しよう!