第四色

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    しかしみつねさんは、人差し指を左右に振って得意気に俺の発言を否定した。 柊の人見知りが緩和された以外に、一体何があるというのだろう。まさか俺だけが特別などと言う事は言わないだろうか…。   だが、みつねさんの反論はそのまさかであった。     「ふふーんっ。きっと飛鳥はんは睦月はんの事を多少なりとも気に入っとるんよ!」   「毒を吐いてくるのですが」   「嫌よ嫌よも好きの内、や」     随分とポジティブ思考ですね。間違っていた時の事は考えないのだろうか。いや、それがみつねさんクオリティ。   みつねさんは自信満々に語り終えると、今日は用事が済んだらしくゆったりと帰っていった。   いやはや、あの方は事ある毎に何かしら行動を起こすのだから恐ろしい。もしかしたら要注意人物やもしれん。       「睦月君、明日からは彼女に色々教えてあげながら頼むよ。こっちもバックアップはするつもりだからね」   「はぁ…みつねさんならきっと大丈夫ですよ。一応雑貨屋で働いていましたし、ある程度の接客は出来るかと」   「睦月君は今まで普通にやってきているけど、それは一人だから。二人三人となると、また違った注意が必要だからね」       なるほど。 言われてみれば確かに。 今までは好き勝手に移動や行動ができたが、明日からはみつねさんも一緒に行動する事になった。 みつねさんは喫茶店の仕事はほぼ素人のはず。慣れるまでは付きっきりで指示した方が良さそうだ。       さて、みつねさんについて考えたり、マスターとの雑談もしばしば行っている内に辺りは真っ暗になっていた。   流石にこの時間帯は誰も来ない。だから今日は閉店としよう。    
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