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しかしみつねさんは、人差し指を左右に振って得意気に俺の発言を否定した。
柊の人見知りが緩和された以外に、一体何があるというのだろう。まさか俺だけが特別などと言う事は言わないだろうか…。
だが、みつねさんの反論はそのまさかであった。
「ふふーんっ。きっと飛鳥はんは睦月はんの事を多少なりとも気に入っとるんよ!」
「毒を吐いてくるのですが」
「嫌よ嫌よも好きの内、や」
随分とポジティブ思考ですね。間違っていた時の事は考えないのだろうか。いや、それがみつねさんクオリティ。
みつねさんは自信満々に語り終えると、今日は用事が済んだらしくゆったりと帰っていった。
いやはや、あの方は事ある毎に何かしら行動を起こすのだから恐ろしい。もしかしたら要注意人物やもしれん。
「睦月君、明日からは彼女に色々教えてあげながら頼むよ。こっちもバックアップはするつもりだからね」
「はぁ…みつねさんならきっと大丈夫ですよ。一応雑貨屋で働いていましたし、ある程度の接客は出来るかと」
「睦月君は今まで普通にやってきているけど、それは一人だから。二人三人となると、また違った注意が必要だからね」
なるほど。
言われてみれば確かに。
今までは好き勝手に移動や行動ができたが、明日からはみつねさんも一緒に行動する事になった。
みつねさんは喫茶店の仕事はほぼ素人のはず。慣れるまでは付きっきりで指示した方が良さそうだ。
さて、みつねさんについて考えたり、マスターとの雑談もしばしば行っている内に辺りは真っ暗になっていた。
流石にこの時間帯は誰も来ない。だから今日は閉店としよう。
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