第五色

3/7
前へ
/68ページ
次へ
    全く…別に他人の視線を気にする程の事はしていないが、セクハラだ何だと言われたら世間的立場が危ぶまれる。 これ以上悪化しなければ良いのだが…。   時に、何故最近になって柊は此処に来るようになったのだろうか。   そんな疑問も、柊が見せてきた一枚の紙によって解決した。     「期間限定(睦月君が淹れた)紅茶飲み放題……」     あの人かッ!!(着物的な意味で)     「おぉ…凄く…手書きや…」   「…貰った…なのー」     そう言えば確かに、柊が来てからやけに紅茶を頼むと思ったら…そう言うことだったのか。 達筆に書かれた内容。 一見機械で印刷したように思える出来栄えだが、直接紙に筆で書いているのが分かる。   今まで姿を見せていないが、まさかこんな形で思い出すとは思わなかった。   会計はみつねさんがやっていたから分からなかったが、そんな特別券を使用しているとは…。 と言うか、そんな物良いのですかマスター?       「別に、構わないけど?」   「そうですか…」   「きちんと常識のある人以外は渡してないからね」       今までそんな物の存在知らなかったのだが。     「まぁまぁ睦月はん。あまり深く考えたら駄目やで?マスターやから」   「そうですねマスターですし」     それで通じてしまうのが恐ろしい。しかしそれが事実なのである。 みつねさんが肩をポンポンと叩き、どこか遠い所に目線――目は閉じているが――を向けて悟っていた。    
/68ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1067人が本棚に入れています
本棚に追加