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こめかみに怒りマークが見える程、俺は雰囲気が悪くなっていたのだろうか。みつねさんが慌てて俺を宥めてきた。
そこまで怒ってはいないつもりだが、どうも顔が引きつっていたらしい。
みつねさんが頬を摘み、クイクイと引っ張ってきた辺り正解だろう。しかしみつねさんにも仕返しはした。
反省はしていない。
後悔もしていない。
涙を目の端に浮かべているが、連帯責任と言う意味で仕置き……ゲフン!!……仕返しだ。
「あふんっ」
手を離したらみつねさんはへなへなと力無くその場に崩れ落ちた。
「ああああかん、ほっぺた熱うなっとるぅ」
「あー…すいません。やり過ぎましたね…」
頬を抑えて慌てるみつねさんを見て、少々罪悪感が生まれ何度目かの謝罪をした。
だがみつねさんは頬を赤く染めたまま返事をせず、自分の世界に入り込んでいる様子であった。
仕方無く俺は柊に話し掛け、飲み放題などと言う券の仕入れ場所を聞き出すことにした。
「これは…いつの間にかあったのー…」
「どこに」
「………えっち…」
こいつと話をしていると腹が立ってくる。話は通じないし、悉く俺を貶して苛立たせる。
初対面でその様に言われたら絶対に人は良い気にはならないだろう。
半分流しているつもりだが、流しきれていない俺がいる。
時に、自分の世界に入り込んでいたみつねさんはどうなったのだろうか。
あれから脱出して正気に戻ったのではないか?
「あかんっ…あかんよ睦月はん…!?うううウチらはじゅ、従業員同士やし…!!」
全く戻っていなかった。
むしろ悪化していた。
誰か助けてくれ。
マスター、助けて下さい。
「拒否権を使わせて頂きます」
くっ…このカオスどうにかしてくれ…切実に頼む。
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