第一色

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        いい加減、メニューを注文してもらわないと困る。 喫茶店に居るのは瑞希さん一人だが、『帰宅する時間帯が遅くなる=マスターに色々な意味で抹殺される』と言うものが成り立ってしまう。   兎にも角にも、俺はいつでも帰宅できるように準備を済ませることにした。 勿論、瑞希さんの注文を取ってから準備を開始する。         瑞希さんの注文は紅茶とチーズケーキで、ケーキは作り置きがあるからすぐに取り出し、紅茶を専用機で淹れる。   マグカップに紅茶を注ぎ、皿に乗せたチーズケーキをトレイに二つ乗せて瑞希さんのテーブルにそれを置いた。     俺はマスターの占い結果を無碍にしないためにも、ウェイター服から私服へと着替え直した。       「あらあら、どうしましょう」   「どうしましたか?」   「睦月君、ちょっとフォークを持って下さい」       言われて俺は瑞希さんからフォークを受け取り、促されるままチーズケーキをフォークで切り取って突き刺した。   ………瑞希さんは口を可愛らしく開けてチーズケーキはまだか、と俺に催促してきた。       「まったく、瑞希さんだけですからね?」   「あーむっ…!」     幸せそうに頬張る瑞希さんを見ていると、こっちも若干良い気分になる。 紅茶を一口含み、飲み込んだ瑞希さんは再び口を開けてきた。     「まるで育児をしている気分ですよ……」   「あむっ…んくっ。睦月君があーん、をしてくれるのは久しぶりですから…育児プレイでも構いませむくぅ!?」       色々と面倒くさそうだから、チーズケーキを開いた口に突っ込んでやった。 幸せそうな顔をするから、話の途中で邪魔をしても大丈夫だな。                                 そんなこんなで、俺は帰宅の時間になった。 瑞希さんとマスターと別れ、俺は急いで自宅前に駆け出した。    
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