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俺は自宅前へと辿り着いた。
マスターの占い通り、本当に彼女が来るのか分からないが、この場にいて間違いは無いだろう。
マスターには絶対的信頼を寄せているし、あの人が嘘偽りを申した例がない。
十数分間待っていると、夜道に似合わぬ慌てた足音が聞こえてきた。
……一人…いや、三人か…いずれも多人数だ。
俺は私服の袖からあるモノを取り出した。それは二本の扇子だが、マスターによる特性品。
過去に何度もこの扇子によって境地を切り開いてきた俺の相棒である。
素材は不明だが、恐らく鉄などを遥かに越えるであろう強度を持つ代物だ。オリハルコンでも使用しているのだろうか?
俺は扇子を開かずにしっかりと両手で持ち、足音の聞こえる方向へと走り出した。
足音の主達を発見した俺は普段作らぬ、眉間に皺を寄せて目の前の奴らを睨み付けていた。
予想通り足音の主は三人で、一人は女で二人は男。
男二人で女一人を追いかけていたようで、女は酷く疲労及びに衰弱している。
男はニヤニヤと嫌らしい笑みを浮かべて、女に近寄っていく。
「貴様等…俺の知り合いに何しやがる……ぶっ殺すぞ…」
「あぁん!?誰だてめぇ!」
「邪魔すんじゃねぇ!」
女はやはり、俺と同じ桜華高校の生徒だ。今日出会い、そして不可解な人間性を持っていた。
そいつは今にも倒れそうな顔をして、俺の後ろに隠れた……と言っても、かなり後方だが。
「貴様等…余所者だな…?この街の人間なら、禁忌を犯さないからな。
よく覚えておけ、この街はある人によって統括され、監視されている。
その人は悪事が大嫌いでね…悪事は禁忌とされていて、それを犯した場合……死よりも苦痛を与えられるだろう」
「はぁ…?んなもん知るかよ!邪魔するならてめぇからやるぞゴラァ!」
俺は忠告をした。尚も悪事を働くようならば――
「執行人…神流 睦月、貴様等を排除する」
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