~某日・豪雨~

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(…最悪だ) 勝弘の悪態は声にはならず、ただ心の中で響くだけ (最悪だ馬鹿野郎) 彼の言う「最悪」は3つの意味を持っていた バイトをクビになったこと 豪雨の中自転車で家まで帰らなければならないこと 帰り途中で豪快にこけ 目の前にダンプが迫っている事 (こんなんで俺の人生終わりか…) スピードが落ちず、そのまま突っ込んで来るダンプを呆然と見つめる (クラクション鳴らす余裕あんならブレーキ踏めよ) ドライバーが「俺は悪くない」と言い訳の様に鳴らすクラクションの音 その直後に、雷が彼の体を直撃する 物理的にあり得ない状況 クラクションの比ではない轟音 それに混じって微かに聞こえた 「………おいで…………」
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