~某日・豪雨~

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「……ふむ……」 手始めに老人は呆然として動かない男をまじまじと観察する 外傷はない、身体が若干動いている事から命にも別状はなさそうだと判断 それからメルが描いた魔方陣を調べる どこかに描き間違いがないかどうか 描いている最中に足で踏んでしまい線がかすれていないかどうか 「う~む…」 異常はなし 老人は再び男の傍に寄り、まじまじと顔を覗き込んだ その瞬間 「むおっ!?」 男が老人の顔を鷲掴みにする 「……掴める…」 そのまま男は手に力を込めた 「あだだだだだだだ!!放せ!放さんか!!」 痛みにもがく老人を解放すると、ゆっくりあたりを見回す 「……あの世ってのはこんなファンタジーなとこなのか」 「なに?」 「閻魔様、俺はあんまり褒められた人生じゃなかったのは認める。でも地獄は勘弁してください」 「………は?」 「極楽浄土に行きたいとは言わない。だからせめて地ご「あんた何ワケ分かんない事言ってんの?」…は?」 男の言葉を遮ったのはメル 男との間に老人を挟み、杖を構えて
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