~某日・豪雨~

9/17
前へ
/148ページ
次へ
杖の先から放たれたのは巨大な火球 それは男と、その前に立つ老人に一直線に向かってくる 「うぉぉぉおい!?」 突如現れた火球に動揺する男をよそに 老人は両手で火球を受け止めた 「人の話を……」 老人はまるで粘土を捏ねる様に火球を変形させる すると火球は赤から青へと色を変え、氷の粒の集合体へと姿を変えた 「聞けバカタレが!!」 老人が氷を打ち返す それはメルを取囲み、一瞬で氷柱に変貌した 巨大なグラスが逆さまになった様なそれ その中にメルは閉じ込められた 「……召喚で魔素をほぼ使い果たしたお主にそれは破れん。少しそこで頭を冷やせ」 手袋を外して、ひとつ溜め息 それから男のほうへ向き直る 「すまんの若人。これで落ち着いて話ができるだろう。まずは私の話を聞いてはくれんか」 一連の事を見ていた男は 老人の言葉に黙って頷いた
/148ページ

最初のコメントを投稿しよう!

99人が本棚に入れています
本棚に追加