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杖の先から放たれたのは巨大な火球
それは男と、その前に立つ老人に一直線に向かってくる
「うぉぉぉおい!?」
突如現れた火球に動揺する男をよそに
老人は両手で火球を受け止めた
「人の話を……」
老人はまるで粘土を捏ねる様に火球を変形させる
すると火球は赤から青へと色を変え、氷の粒の集合体へと姿を変えた
「聞けバカタレが!!」
老人が氷を打ち返す
それはメルを取囲み、一瞬で氷柱に変貌した
巨大なグラスが逆さまになった様なそれ
その中にメルは閉じ込められた
「……召喚で魔素をほぼ使い果たしたお主にそれは破れん。少しそこで頭を冷やせ」
手袋を外して、ひとつ溜め息
それから男のほうへ向き直る
「すまんの若人。これで落ち着いて話ができるだろう。まずは私の話を聞いてはくれんか」
一連の事を見ていた男は
老人の言葉に黙って頷いた
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