第一章 始まりの第一歩

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桜散る道の上、俺は考えていた。 戦うことでしか生きていけないこの世界。 その術を俺は今まで学んできた。 今日はその成果が出る日。 俺に生きる資格があるのかないのか、それがはっきりする日だ。 もし駄目だったらどうしよう? そういう思いが俺の歩みを止める。 もう後戻りはできないのは分かっているが、それでも、やっぱり… 「あぁ~~!もう、俺、無理!絶対無理!なあ、メル、俺の分も見て来てくれないか?」 俺の心からの悲鳴に、少し前を歩く俺の幼馴染みのメルは、少し困ったような顔を向けてくる。 「大丈夫だよ、いっちゃん。今までいっちゃんが一生懸命勉強してきたの、私ずっと一緒にいたから知ってるもん。それにさ、入隊試験っていっても編入先を決めるだけみたいなもんだし」 「だけどさぁ…もし落ちてたら、俺、俺……」 「大丈夫だって!」 不意に俺の手を握ってくるメル。 「ほら、行こ!」 「あ、ちょ、ちょっと…っ!」 メルは俺の手をひくと、合格発表の場へと向かって行く。
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