序章―プロローグ―

10/13
前へ
/101ページ
次へ
いつもの通学路― 登校中、後ろから走って来る足音と、叫び声が聞こえた。 「おぉーい!置いてくな~!」 と、急ぎ足で来る谷口。俺は簡単な挨拶を交わす。 「よ。」 「よ!俺買ったぜ!」 「谷口、主語と動詞しか分からん。内容を話そうな。じゃないとコメントが出来ん。」 「……俺がジェノサイト・クロニクルを買ったに決まってるだろ。」 谷口はそこまで言ってから、ハアハアいっていた。だいぶ長距離を走って来たらしい。 その時―後ろから密かに近付く足音があった。 「んで?何を買ったって?」 「うおっ!いきなりでてくんな、社長!」 びっくりしている谷口を余所に、高山に挨拶をする俺。 「ちーっす。」 「ちーっす、クロ。谷口、質問に答えろ。」 「だ~か~ら~、ジェノサイト・クロニクルだって。」 「なんだ、それ?」 高山の頭に、疑問符が幾つも浮かんでいたので、俺は、 「ほら、前に……」 と、昨日の放課後のことを90%ぐらい教えてやった。 すると高山は覚えていたらしく、小さくうなづいた後、こう言った。 「……それか。クロはどうするんだ?」 「え?買うつもりだが?なんでだ?」 俯いて何かを考える高山。 そして―高山は言った。 「俺も買うか。てか谷口、もう買ったんだろ?どうだ?」 沈黙する谷口。それを疑問に思った高山は、 「どうした?」 と言った。すると谷口は小さな声でこう言った―
/101ページ

最初のコメントを投稿しよう!

11人が本棚に入れています
本棚に追加