11人が本棚に入れています
本棚に追加
いつもの通学路―
登校中、後ろから走って来る足音と、叫び声が聞こえた。
「おぉーい!置いてくな~!」
と、急ぎ足で来る谷口。俺は簡単な挨拶を交わす。
「よ。」
「よ!俺買ったぜ!」
「谷口、主語と動詞しか分からん。内容を話そうな。じゃないとコメントが出来ん。」
「……俺がジェノサイト・クロニクルを買ったに決まってるだろ。」
谷口はそこまで言ってから、ハアハアいっていた。だいぶ長距離を走って来たらしい。
その時―後ろから密かに近付く足音があった。
「んで?何を買ったって?」
「うおっ!いきなりでてくんな、社長!」
びっくりしている谷口を余所に、高山に挨拶をする俺。
「ちーっす。」
「ちーっす、クロ。谷口、質問に答えろ。」
「だ~か~ら~、ジェノサイト・クロニクルだって。」
「なんだ、それ?」
高山の頭に、疑問符が幾つも浮かんでいたので、俺は、
「ほら、前に……」
と、昨日の放課後のことを90%ぐらい教えてやった。
すると高山は覚えていたらしく、小さくうなづいた後、こう言った。
「……それか。クロはどうするんだ?」
「え?買うつもりだが?なんでだ?」
俯いて何かを考える高山。
そして―高山は言った。
「俺も買うか。てか谷口、もう買ったんだろ?どうだ?」
沈黙する谷口。それを疑問に思った高山は、
「どうした?」
と言った。すると谷口は小さな声でこう言った―
最初のコメントを投稿しよう!