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谷口は小さな声でこう言った―
「………まだやってない。」
「はあ!?」
見事にハモる俺と高山。
「いや、やろうと思ったよ、俺だって!」
「じゃあ何でやらなかったんだよ!」
俺がそう言うと。
「………睡魔に負けた。」
そう言った谷口の言葉に、俺と高山は、同時に溜め息をつく。
「…まあお前だからな。睡魔には勝てないな。」
高山は谷口に言う。
「ううぅ…」
「しゃあない。谷口、罰として………」
「ば、罰ぅ!?」
高山は、こう言った。
「おれらと放課後ついて来い。」
案の定、谷口はポカンとしていた。
暫くの後。谷口は。
「………しゃあねぇな!ついてってやるよ!」
そう言う谷口に、俺が突っ込む。
「だから罰ゲームだろ。」
俺らが笑いながら話していると、後ろから声がした。この声は―
「おお!今日は早いな!」
大和だった。
「お前ら、やればできんじゃねえか!」
「何が?」
谷口がそう言う。
「だって今7:34……」
暫く、大和は沈黙していた。
一応、俺からもコメントしてみる。
「………いつもの時間だがな。」
その瞬間、大和は、頭を抱え。
「やっちまった!時間間違えた!どうしよう…」
「朝早くから何かあるのか?」
と高山。それに大和は、
「朝早くからあるも何も、今日はクラス委員の集会があるんだよ!」
単純に、俺は、
「そんじゃあ『遅れました~』でいいんじゃないのか?」
というと、大和は、
「それじゃあ済まないんだよ!田中だ田中!あいつが問題なんだ!」
と、泣くようなポーズを取る大和。すると、
「田中がどうしたって?」
………谷口が『田中』に食いついてきた。あえて無視する俺と高山。俺は質問を続ける。
「どう問題なんだ?」
「あいつ朝不機嫌だから余計につっ掛かって来るんだよ!嗚呼…時間が…じゃな!」
と、急いでいる割りには長く語った大和が走っていく。
おれらはそれをただ唖然としてみるだけだった。
俺は、谷口達に問う。
「………どうする?俺らも走るか?」
「別にいいけど?」
「え~キツいじゃ………」
俺と高山は谷口の返事も待たずに走り出した。
「ちょっ! 待てよ !」
と、俺らは校門をゴールに走り出した。
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