序章―プロローグ―

2/13
前へ
/101ページ
次へ
「……つまんねぇな、このアニメも。」 今俺は、自宅のリビングで朝飯を食べている。そしてこのくっだらないアニメを、俺の妹鈴【すず】は楽しそうに見ている。 一体、どんな所に面白みを覚えるんだ?このアニメ、男ばっかりが出てくるし、なんか逆ハーレムみたいだが。 そんなことを思いながら、朝飯を口に掻き込んでいると、キッチンに居た母親が俺たちに向かって言う。 「早くしなさい、学校に遅れるわよ」 分かってる、そう思いながらもその言葉を飲み込んで、食事を終える。 そして同級生にからかわれないくらいに寝癖を大人しくして、俺は玄関を出た。 ドアを空けると、いつもの通学ルートをたどる俺。 ここで俺の説明。 俺の名前は黒谷一樹【くろたにかずき】。ただの高校生だ。 成績・運動神経なと、すべて平凡以下。 友達は少ない。 俺が他人に抱かせるイメージは『暗い』『話づらい』。 親しい仲でのあだ名はクロ。何時しかついたあだ名だ。 登校ルートを何時もどおり歩くと、何時もどおりの人がやって来るわけで。 自分の後ろから、ちょっと早足でやって来る足音が聞こえた。 そして、そいつから俺に対して声が掛けられる。 「うーっす!クロ!おは!」 「……ああ、お前か。おはよう。って……誰だっけ?」 名前は分かっているが、こいつを見ると無償にいじりたくなるんだよな。 「誰だっけって!友の名を忘れんなよ!」 そいつは、半分怒り、半分笑いの表情を俺に向ける。 「ああ、そうだ。おはよう、ヤギハシ。」 「ちがーう!俺の名は谷口【やぐち】だ!どこをどう覚えたらそうなるんだ!」 「すまんすまん。つい、な。」 こいつは、口調から分かると思うが、俺とは正反対の性格だ。 イメージ的には、『明るい』、『ポジティブ』。そこら辺だ。 あと一人、足りないのだが……と思いながらも谷口と喋っていると。 ……やっぱり、諺通り。 噂をすれば何とやらだ。 後ろから、谷口が近付いて来たペースより、早いペースで近付いて来る者がいた。
/101ページ

最初のコメントを投稿しよう!

11人が本棚に入れています
本棚に追加