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時間は流れて放課後。当番制の掃除も終わり、俺は高山、谷口の集まる教室入口へ出た。
「ふぁぁぁぁ…………よう、谷口。眠そうだな。」
「ふぁぁぁぁ…………ま、まあな……」
「クロ、お前寝てたのか?谷口は前だからよく分かるが……寝すぎだぞ。」
俺はともかく、谷口も俺と同様、完全に睡眠授業だったらしい。全く眠気が抜けないようだった。
すると、掃除が終わり輪にはいって来た大和が言う。
「その癖、直せよ、谷口。お前はいつもじゃねえか。」
「ははははは……面目ない。」
「はあ……ってか、クロ、谷口、高山、部活は?」
「俺は入ってない。」
「オレも部活には入って無いが……なあ、社長。お前は大丈夫なのか?」
「あ!やばい!あるわ今日!!……じゃ!!」
……そういって走っていく高山。ちなみに陸上部。だが体力がないという、微妙な奴だ。
高山を見送った後、大和が言う。
「ほら。お前らもなんか入れよ。そんなんだったら体が堕落してくぞ?」
「いやいや、運動苦手だしな……谷口、そういやなんでお前ははいらないんだ?」
「いや、上下関係とか苦手でさ……」
そのとき、一人の女子が走ってきた。
そいつは俺たちの輪の中に入り込んで……
「ぁあの!割り込んですいません!!会長!早くしてください!」
会長、と呼ばれたのは大和。……大和は言わずもがな、生徒会長なのである。
大和は、驚きながらも、それでも落ち着いた声で。
「おっと、やばい。時間だ。すまない、副会長。」
「もう!いつもそれでしか呼ばないじゃないですか!私にはちゃんと『田中礼奈』っていう名前があるんです!」
「すまないな、『副会長』。もっとも、早くしないといけないんだろう?」
「もう、また副会長って!早くいきますよ!」
自分で名乗った田中礼奈【たなかれいな】と大和は、まるで嵐のように去っていった。
「……あいつはいつも威勢がいいな……」
正直、ああいうタイプは嫌いだ。だが。
「ああ……可愛いな……」
谷口は、田中に惚れている。
俺は呆れ顔で言う。
「……帰るか。」
それとは対照的なテンションで、谷口は言った。
「そうだな!帰るか!田中にもあえたし!」
……やれやれ、疲れる。
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