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そして、その日の帰り道。高山は部活に行ったため、今日は谷口と下校する。道の途中で谷口はいきなり言い出した。
「田中さん、可愛かったなぁ……」
「……ったく、あんな奴の一体どこがいいんだ?」
「『あんな奴』とは失礼だな!大体、あの人を好きにならない奴がどうして俺のとなりにいるんだ!」
と、大袈裟なorzポーズを見せる谷口。
事実、クラスの大半の生徒は田中に夢中だったりするのだ。
「そう言われてもな……人には人の好みがあるしなぁ……」
「確かにそうだけどな……あ、そう言えば!」
ったく、気持ちの切替えが早いな、こいつは……
「そう言えばって……なんだ?」
「クロはあのゲーム、買うつもりなのか?」
「あのゲーム?どのことだ?」
今頃だが、俺たち(高山を含む)はゲームによって繋がった友達関係だ。
「あのゲームと言えば、あれだよ。えーっと……アレ?名前何だっけ?」
「俺に聞かれても困るんだが……特長は?」
谷口はありきたりの考えるポーズで数分うなっていた。
その後。
「ほら、前にこういうことがあったじゃん。」
と、自らの記憶を辿り、話し始めた。
ある日の、昼休みのことだと言う。
その日は谷口がゲーム雑誌を持って来ていた……らしい。
雑誌を広げ、谷口は俺らに意見を問った……
「んで、今度出るこのゲームなんだが……」
「どれどれ……」
「どうだ!?」
沈黙の二人。
その後―
俺たちは言ったそうだ。
「買うよな。これなら。」
「よっしゃ!!発売されたらみんなで買おうぜぇ!」
「分かった。」
「了解。」
……以上、空想終わり。
「確かにあったのか……?」
「あっただろ!?でも題名が出てこねぇ……」
ふと、頭の中に過ぎった言葉を、俺は口にした。
「『ジェノサイト・クロニクル』だったかな……」
と、言ってみる。
「それ!!お前は買うんだろ?」
「まあな、買うつもりだな。」
と、立ち止まる俺。
「買うんだな。クロ、なんで止まる……あ、着いてたのか。ありがと、じゃまた明日な!」
と言い、去っていく谷口。
今ごろだが、下の名前は龍一(りゅういち)だ。
え?どうでも良いって?
……とにかく、俺も家に着いた。
因みに、谷口の家からは余り離れていない。故に、一緒に帰っている。
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