序章―プロローグ―

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玄関のドアを開き、家に入る。 「ただいま~」 「あ、お兄ちゃんお帰り~」 鈴だ。 ………補足すると、俺の妹。中三。 「鈴、今日は帰って来るの早かったんな。」 「うん。……あ、そうだ!お兄ちゃん、お母さんとお父さんは今日からまた旅行だって。」 「今日の朝は居たじゃないかよ。」 「うん。でも………ほら。」 と、鈴は部屋の真中のテーブルの上にあった、紙を摘み上げ、読んだ。 「えーっと、『旅行行って来ます。まあいつもの事だから分かるよね?期間は三日かな。じゃあね。母より。』続けて、『行って来る。父』だって。」 「………分かった。」 って父さん、簡潔過ぎだろ…… 「だ・か・ら、これ。」 鈴は後ろを向き、何かを漁る。ガサガサいう音からして、何かの袋のようだが……… 「じゃぁ~ん!」 ………と、取り出したのはビール缶。 「またかよ…」 「うん!」 ………こいつは中3にして酒を飲む。 しかも親の居ない間だけ。俺が許してるのもアレなのだが……… 「ほどほどにしとけよ。また俺が疑われるんだからな。」 「はーい!」 元気よく返事をし、ビールを当たり前のように飲み出す鈴。 俺もまだ飲んだことねえのに… とか思いながら、2階に行った。 因みに、俺ん家は2階建てで、一階は飯専用階層、2階は子供の個人部屋だ。 2階に上がった俺は、 「ふう………」 鞄を置き、一息ついた。時間を見ると、 7:50。 流石に今から外出すると鈴が気になるので外出は出来ない。 そして俺の手は自然にゲーム機を取り出した。 ………さすがに、勉強には手がいかない。 始めてから、2時間以上経ったのだろう。時間は見て無いが―いきなりドアが開いた。
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