5人が本棚に入れています
本棚に追加
夜も更けた時に男は儀式を始めた。
知識こそ膨大であったが、男はこれが初めての召喚であり、悪魔を喚びだすことができるのは滅多にはないこと。
僅かな緊張と共に呪文を唱え終わり、瞼を瞬かせた。
それは刹那と言って過言ない程に短い時だ。
だが、その刹那に確かに男の視界は一度塞がれる。
その一度の間に、それはいた。
男は思わず一歩あとず去った。
そこには小綺麗な青年がいた。
着るものは上等でとても品があり、柔和な顔をしている。
だが、男は悟った。
これが喚びだした悪魔に違いないと。
最初のコメントを投稿しよう!